隣のあなた


そう。
あたしはヒロに尽くしすぎた。


──────

"香織さ〜土日休みの仕事しなよ。"

"え?あー。うん。"



─わざわざ勤めてた会社辞めてフリーターになった。



"髪切りなよ。俺、ショートが好きだし。"

"ヒロが好きなら切る。"

─長年伸ばしてきた胸まであった髪を切った。



"あ〜PS3欲しい〜!"

"じゃあ、誕生日の時買ったげる!"


─翌月のヒロの誕生日にPS3を購入。メモリーとソフトも揃えた。





───────


まだまだ多々あるが…

『確かに尽くしすぎたな。』


ちょっと反省してみる。


『まぁさ、香織って姉御肌じゃん?ヒロ君はタメだし付き合いながいから、好きって気持ちは後にして、ほっとけなかったんでしょう。そういうの…母性本能ってやつじゃんか?』


『ん〜…かもね。実際あたしが居なきゃ奴は甘える相手が居なかったからかな。』


ヒロには母親が居なかった。兄弟も居ない。
小学生の頃から父親と二人。
あたしが初めての彼女。








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