嘘と嘘で始まる
「そういう慎也の彼女は胸大きいの?」

何事もなかったように、言えたかな。
慎也を見ると、ほとんど首にぶら下がっただけだったネクタイを外してシャツのボタンも二つばかり外していた。

ドキドキするから、やめて欲しい。
わたしは慌てて片付けを再開。

「俺は…胸より足派だな」

「足?」

「そ」

そう言うと、つかつかと私の前にやってきて
「こんな足」

と軽くスカートを上にめくる。自然に。普通に。

「……。」

「実菜の足、きれいだよな」

「何すんのよ~!ばか」

もっかいグーでお腹に一発見舞ってやろうとしたけど、今度は私の右手、慎也の左手につかまえられてしまった。
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