漆黒の眼―死神の契約―
「柚おはよーっ」
学校に着いて教室に入ると、友だちの舞衣が声をかけてくる。
しかし私は返事をしない。
ただちょっと笑って会釈するだけ。
これも私の日常。
だから誰も何も言わない。
それにしても今日はやけに教室内が騒がしい。
不思議に思ってみんなの話に耳を澄ませると、
『転校生』
『かっこいい』
『仲良くなりたい』
などの言葉が方々から聞こえてきた。
なるほど、転校生か。
かっこいいと言われているのだからきっと男だろう。
とその時、私は全身に鳥肌が立つような寒気を感じた。