Fate
プロローグ
響くは歌声
風が背中から吹き抜けてくる。時に緩く、時に激しく。耳元で、風が鳴る。
狭く、薄暗い通路。両側の壁に等間隔で取り付けられたランプの明かりによって、辛うじて足元が見える程度。
そこを歩くのは、二人。
視界の邪魔をしない、限界の長さで切り揃えられた黒い髪を揺らしながら歩く、背の高い青年と、その後ろを歩く、金色の髪を後ろで一つに束ねた女性。こちらも、女性にしては背が高い。
二人とも、背中に二つの瞳が描かれたコートを羽織っている。向って右側は、三本の睫毛を携えた、人のそれを描いたと思われる瞳。左側は、真ん丸く紅い、人のそれとは明らかに違う、瞳。
その二つの瞳の下には、『Double Eyes』と、書かれている。
「ねえ、コレ、貴方たちが掘ったのよね?」
ところどころ歪に曲がる通路を歩きながら、後ろの女性が尋ねた。目鼻立ちの整った、誰が見ても美人だというであろう端麗さだ。
「ああ、そうだけど。確か、十年くらい前だったかな」
見た目から予想できるよりは若干低い声で、青年は答えた。
彼は、左右の足で少しだけ足音が違う。右足を踏み出した際は、金属音のようなものが足音に混ざる。
腰には、鞄が巻かれており、銀色の工具が頭を出している。
狭く、薄暗い通路。両側の壁に等間隔で取り付けられたランプの明かりによって、辛うじて足元が見える程度。
そこを歩くのは、二人。
視界の邪魔をしない、限界の長さで切り揃えられた黒い髪を揺らしながら歩く、背の高い青年と、その後ろを歩く、金色の髪を後ろで一つに束ねた女性。こちらも、女性にしては背が高い。
二人とも、背中に二つの瞳が描かれたコートを羽織っている。向って右側は、三本の睫毛を携えた、人のそれを描いたと思われる瞳。左側は、真ん丸く紅い、人のそれとは明らかに違う、瞳。
その二つの瞳の下には、『Double Eyes』と、書かれている。
「ねえ、コレ、貴方たちが掘ったのよね?」
ところどころ歪に曲がる通路を歩きながら、後ろの女性が尋ねた。目鼻立ちの整った、誰が見ても美人だというであろう端麗さだ。
「ああ、そうだけど。確か、十年くらい前だったかな」
見た目から予想できるよりは若干低い声で、青年は答えた。
彼は、左右の足で少しだけ足音が違う。右足を踏み出した際は、金属音のようなものが足音に混ざる。
腰には、鞄が巻かれており、銀色の工具が頭を出している。