Fate
「おはよう、コウ」と、シェスカは答えながら、目の上で切り揃えられた栗色の前髪を上目遣いに見た。
「うなされていたみたいでしたが……」コウは笑みを一転させ、心配そうにシェスカの顔を覗き込む。
「うん、ちょっと、嫌な夢を見ていたの」シェスカは足をベッドの縁から投げ出し、座る。「で、何か用?」
コウは安堵の溜め息を漏らしながら振り返り、扉側の壁に張り付くように置かれた衣装ダンスの方へ歩いて行きながら言う。
「今日はシェスカ様の十七歳の誕生日でしょう? アレクサンダー様が誕生日パーティを、とのことなので、シェスカ様がドレスをお召しになられるお手伝いに参りました。何か、お誕生日プレゼントも用意されているらしいですよ」
「……あの人はこんなときにだけ父親面をするのね。普段は顔を見せに来ることすらしないのに。毎日、研究ばっかり……あたしのことなんて本当はどうでもいいくせに」
「シェスカ様……」悲しそうな声で言いながら、コウはシェスカの方へ向き直る。
そして、歩み寄り少しだけかがんで、顔を覗き込むようにシェスカと視線を合わせた。
「そんな悲しいことを……アレクサンダー様はいつもシェスカ様のことを気にかけておられます」
「うなされていたみたいでしたが……」コウは笑みを一転させ、心配そうにシェスカの顔を覗き込む。
「うん、ちょっと、嫌な夢を見ていたの」シェスカは足をベッドの縁から投げ出し、座る。「で、何か用?」
コウは安堵の溜め息を漏らしながら振り返り、扉側の壁に張り付くように置かれた衣装ダンスの方へ歩いて行きながら言う。
「今日はシェスカ様の十七歳の誕生日でしょう? アレクサンダー様が誕生日パーティを、とのことなので、シェスカ様がドレスをお召しになられるお手伝いに参りました。何か、お誕生日プレゼントも用意されているらしいですよ」
「……あの人はこんなときにだけ父親面をするのね。普段は顔を見せに来ることすらしないのに。毎日、研究ばっかり……あたしのことなんて本当はどうでもいいくせに」
「シェスカ様……」悲しそうな声で言いながら、コウはシェスカの方へ向き直る。
そして、歩み寄り少しだけかがんで、顔を覗き込むようにシェスカと視線を合わせた。
「そんな悲しいことを……アレクサンダー様はいつもシェスカ様のことを気にかけておられます」