あふれる、ふれる。
毎日続く雨のせいか、教室の中はむっとしていて、ファンデーションをつけても変にういてしまう。15歳のピチピチの素肌にファンデの浮きはババくさい。そう判断したナナコは、フェイスパウダーだけ簡単にはたいて仕上げにはいっていた。
「行くよ。しんちゃん、今日学校内で練習するっていうから。」
答えながら、カバンに密かに忍ばせたケータイに目を走らせた。ミサは、「ふーん」といいながら、チークをはたいていたが、ふと視線だけナナコにむけて言い放った。
「え?てか、そのしんちゃんって彼女いるんじゃないの?」
「いるよ。ようこさん。」
机を手早く片付けながら、視線もかえさずナナコは答えた。
「でも、あんまり関係ないし。だって、別にようこさんとケッコンしてるわけとかじゃないし…」
ガラガラッ
「ホームルームはじめるぞー。」
消え入りそうな声で言い終わるか終わらないかのうちに、威勢だけがいい担任の声が教室にはいってきた。
「あ、戻ってきた。」
そんなナナコの声を無視するように、ミサはそそくさと前に向き直った。
湿度が高い教室に、
暑苦しい担任の声に、
うっとうしいクラスメイトに、
思い通りにならないメイクに、
片思いの状態に、
ナナコの心はちっともはずまないまま、今日も放課後を迎えたのだった。
「行くよ。しんちゃん、今日学校内で練習するっていうから。」
答えながら、カバンに密かに忍ばせたケータイに目を走らせた。ミサは、「ふーん」といいながら、チークをはたいていたが、ふと視線だけナナコにむけて言い放った。
「え?てか、そのしんちゃんって彼女いるんじゃないの?」
「いるよ。ようこさん。」
机を手早く片付けながら、視線もかえさずナナコは答えた。
「でも、あんまり関係ないし。だって、別にようこさんとケッコンしてるわけとかじゃないし…」
ガラガラッ
「ホームルームはじめるぞー。」
消え入りそうな声で言い終わるか終わらないかのうちに、威勢だけがいい担任の声が教室にはいってきた。
「あ、戻ってきた。」
そんなナナコの声を無視するように、ミサはそそくさと前に向き直った。
湿度が高い教室に、
暑苦しい担任の声に、
うっとうしいクラスメイトに、
思い通りにならないメイクに、
片思いの状態に、
ナナコの心はちっともはずまないまま、今日も放課後を迎えたのだった。