ショート シチュエーション{ Lovers Season }


『‥ここに居たんだ‥。

知ってるか?リラの花は
冬が来て枯れてもまた
次の季節には芽吹くんだ
何度も何度でもだ!』

緩やかに揺れるブランコを
止めて温もりの背中を
抱き締めた。


『‥当たり前じゃないの‥
そんなこと‥』

フッ、と柔らかな微笑みを
浮かべ、彼女が応えた。


バスルームに残されていたのと
同じ彼女の香りが彼の胸を
満たす‥


『枯れたんじゃない‥
解るだろう?』


彼女には直ぐに理解ができた。


あの日、この公園で
語り合った言葉だ。


彼が何を言おうと
しているのかも‥



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