ショート シチュエーション{ Lovers Season }
『だったらもっと
早く見つけてよ!
ホントは忘れてたでしょ…?
嘘つき‥』
肩にかかった彼の腕を
キュッとツネって彼女が
微笑んだ。
『イテッ!何すんだよ!』
彼は尚、彼女を強く
抱き締めた。
閉店間際の花屋の店先で
買った小さな鉢植えの袋を
間にして二人はゆっくりとした
足取りで家路へと歩いた。
夜風と共に
リラの花の香りが
立ち込めていた‥
あれから二人は時々
同じ木の下で
心の時刻合わせをする。
何度も何度でも…
END