ショート シチュエーション{ Lovers Season }
空港から少し離れたCafeの
窓辺で男は座ってNews Paperを
広げて見ていた。
赤いシェードが迫り出す
大きな窓辺からは通りの
向こう側まで見渡せる。
時計の長針が廻るのと共に
白壁に細長い影が伸びてゆく‥
さっきから男は同じページを
開いたまま、ずっと窓の外を
ぼんやりと眺めている。
買い物帰りであろう女性が
3つほど大きなペーパー
バッグを提げて行き過ぎる…
リードに繋がれたしなやかな
ドーベルマンが青年の前を
影の様に導く‥
いつもと何ら変わらぬ風景だ。
通りに1台の白いセダンが
停まった。
ドアが開くとスラリとした
ヒールの脚が覗いた。
ミンクのロングファーコートに
長い巻き髪、サングラスに
真っ赤なルージュが印象的な
女だ。
通りの反対側から男が現れた。
女の方に向かって手を振り
駆け寄る‥
暫くすると二人は大きな
身振りで見物人が群がりそうな
勢いで何やら言い争いを始めた
女が男の頬に決別の一打を
喰らわせると踵を返し、足早に
去ろうとしていた。
男は女の周りを不規則な
人工衛星の様に廻りながら
思い付く限りの言い訳を
並べている‥