自由帝の笑顔の嘆き
セバスが持ってきたのは一本のナイフだった。

父親が鞘から抜いて刃を見せる。
それは真っ青なナイフだった。

「これは俺が昔使ってたナイフだ。これをもってけ」

父親がナイフを渡す。

「お父様!お許しなさるつもりですか!?」
「良いか?行く先では身分を隠せ。決して皇子と悟られるな。それと…」
「それと?」
「必ず帰ってこい。それが条件だ」

ロキはナイフを鞘から抜き胸の前に掲げる。

「このナイフと我自身に誓って」
「お前に神の加護がありますように」

父親がロキの髪をくしゃくしゃにする。

「楽しんでこい!世界は広いぞ!」

こうしてロキの旅が決まった。
< 19 / 31 >

この作品をシェア

pagetop