自由帝の笑顔の嘆き
入って来たのは一人の老紳士だった。

「失礼、マスター。少しお聞きしたいのですが」「はい。なんでしょう?」
「ここらへんでロキお坊ちゃまを見かけませんでしたか?あ、私、彼の教育係のセバスと言う者です」

マスターがチラッとロキを見る。

「さぁ。見てないですね…」

セバスの目が光るといきなりロキの帽子を取り上げる。

「げ!」

ロキが叫ぶ。

「見つけましたぞ!ロキお坊ちゃま!」

セバスがロキの首根っこを掴む。

「離せぇー!」

ロキは叫びながら引きずられていく。

「ミートパイがぁ!」

そう言い残すと店のドアが閉まった。
店内に笑いが響く。
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