15のとき
「あの人は…かおりの死の後、いなくなってホッとしたって言ったんだ…。」



そう言うと


また彼はこぶしをさらに強く握りしめ、目からは悔し涙が溢れてきた。



「そんな…ひどいことを…?」



私は固く握られた彼のこぶしの上にそっと手をそえる。



「あんな言葉…、たとえ冗談でも言ってほしくなかったよ…。」





わかる


わかるよ…


私だって

お母さんに言われた言葉の傷は


後でどんな謝り方をされたって…

癒えるものではないと思う…。





「辛かったね…勇気…。私も一緒だよ…。」


私は彼の肩に頭をのせ、しばらくそのままでいた。
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