失いいくものへの鎮魂歌
あいつがどれくらい同世代の年代と似つかわしくないくらい
個性的な女性か予想以上だった

音楽は全く聴かない かもしくは パキスタンの伝統音楽にやや詳しい

ある宗教の信者で神を深く崇拝している

輪廻転生の話になるとむきになって何時間も続ける



一番変だと思った点は 右腕の無い僕に対しても平気でどうして右腕を失ったのかと訊いて来るところだった。

僕はためらいなく答えた
「先天性のものなんだ…」
それでもこう続ける
「左腕でよく絵が描けるわね」



絵のモデルと雇い主
そういった関係は長く続かなかった

俺が工業デザイン専門であるとすぐ知られて
女性をモデルに制作していないことをすぐ悟られてしまったからだ
下心も悟られた


しかし現実問題として彼女の抱えた問題も浮き彫りになった
彼女のほうも何の問題のない女性ではなかったからだ


彼女は末期の肺がん患者だった
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