雨の日晴れの日

先輩

太一の病院をあたしは後にした。太一に最後の｢さよなら｣をして、だけどまだまだ心が虚しいよ。そのままあたしと太一の共通の先輩に会う事になった。先輩に太一の“死”を知らせに行くために…。｢おいっ！梨華｣向こうから先輩の声。
｢あっ…久志先輩。お久し振りです｣頭をさげ先輩は不思議そうに
あたしにこう聞いた。
｢あれ？今日太一は？｣
｢あ…あの…先輩…｣
あたしは詰まりそうな喉をしっかり開いて先輩に話した。真実を。
｢太一は昨日死んだんです…｣重い口を開いて
やっと言えた…
｢えっ｣先輩は言葉を
詰まらせて事態を飲み込んだかの様に、小さく涙を流した。｢梨華…大丈夫か？｣先輩はあたしを心配してくれた。
なんだか今はどんな優しさも身体に悪いな…。
涙を誘う…。
｢先輩っ…あたしあたし…ど‐したら良いんでしょう…｣あたしは
ふと先輩にこぼした
｢太一が居ないと…
あたしの日々は太一が全てで太一が居なければならないのに…｣
信頼出来る先輩に
会ってなんだか張り詰めていた糸が
“プツン…”と
音をたてて切れてゆくのを感じた。
｢梨華…今日はもう帰ろうか…俺も太一に逢いにいきたいし、ゆっくり寝て明日また俺の家おいでよ…｣先輩は優しくあたしに言ってくれた。
家に帰って母が笑ってた。｢あの子死んだんだって‐？｣あざける母の笑い声がものすごくうっとおしい…。
｢…ッお母さんなんて大っ嫌い！お母さんなんて居なくなればいいのに！｣思わず言ってしまった。母は少し戸惑っていた。次の日あたしは
先輩の家に向かった。
先輩は１７歳でもう一人暮らしをしていた。
呼び鈴を鳴らした。

“ガチャっ”
ドアを開く先輩の
玄関には沢山の靴が並んでた。奥の方では大きな笑い声が聞こえていた。｢先輩…？｣
｢大丈夫大丈夫！皆いい奴らだからさ！落ちてる時は騒ぐのが一番やで｣
あたしは先輩を
信じ部屋に上った。
“ガチャ”
部屋まであるく時あたしの後ろで“コンッ”と
音がした。今思えばあれは太一の声だったのかも知れない…。
部屋に入ってくと
そこには金髪や反り込みといった見た目の怖い人たちが７人くらい居た。煙が部屋を支配して
アルコールの匂いが充満していた。