アタシとじいさん
アタシの心を知ってか知らずか、トミさんは言った。
「本当は一緒に済んだっていい。
だけどそれじゃズミによくないだろ?
改めて自分が娘にしてしまったことの罪の重さを知って、
繰り返さないようにしなくちゃいけない。
ここで俺達が手助けしたら、ズミは甘えることになる。逃げることになる。
それだからケンさんは突き放してるんだ」
「甘えって…甘えたっていいじゃないですか!
だってアタシ達は他人だけど、『知り合い』じゃない。
ズミさんと『友達』なんだから。
友達なら辛いときは助けてあげないと…」
アタシはトミさんの言ってることが理解できなかった。
不服な顔をしてるアタシにトミさんは、微笑みながら、
「ひかりさんは優しいね。それはひかりさんの優しさ。
だけどね、ケンさんの優しさはひかりさんと違う優しさなんだよ。
あれはケンさんの精一杯の優しさなんだ。
きっとズミも分かってるし、ひかりさんもそのうち分かるよ」
「そのうち…か…」
そうトミさんに言われると何にも言えなかった。
そのうちっていつかな?
ねぇ…ケンちゃん…