アタシとじいさん
「確かに学校で働いてると、そういう子いる。
俺も『子ども産むから』って言って、退学した生徒みてきた。
親父が言うように、育児放棄するヤツはたくさんいるよ?
もちろんそういうヤツらは、自分の家庭環境が複雑だった。
だけどさ、普通の専業主婦とサラリーマンの家のどこにでもいる家庭の子どもだって、妊娠を理由に辞めるんだよ。
それで育児放棄だってするんだ。
家庭環境…少しは関係あるかもしれないけど、複雑な家庭で育ったからって、
俺は全員が全員、育児放棄するとは思ってない。
現に俺だってある時期は父親がいなかったんだ。
それはある意味複雑だろ?
だけどお袋はちゃんと俺を育ててくれた。
それって…ひかりにも言えることだろ?
それにさ…」
翔ちゃんはアタシを見て言った。
「こいつは、ケンが惚れた女性(ヒト)なんだよ。
自分の息子の惚れた女性なんだから、信じて手助けしてやったっていいじゃん。」