アタシとじいさん
「家、どうするんだ?」
ぶっきらぼうに聞くケンさん。
急に話がかわって、一瞬キョトンとしたアタシに「戻るのか?」と一言。
「帰りたくはない…ですね。
しばらくは友達の家に居候させてもらおうと思って。
学校にも宿泊施設はあるし。いざとなったらそこに…」
そこまで言ったアタシに「あのな…」とケンさんが続けた。
「俺ん家、一軒家なんだ。
で…部屋とか使ってないとこあるし…
もしお前がよければ、一部屋貸してやる。
もちろん新しい部屋が見つかれば出ていけばいい。
友達んちがいいなら、それでも構わない。
ただ…やっぱり気兼ねするだろ?いつまでもいられるわけじゃないだろうから。
ウチならいつまでいたって構わない。
俺以外、住人はいないから。
家賃はいらないけど、飯は自分で作ることになる。
それで良ければ来ればいい」