アタシとじいさん
待ってる間、ひーちゃんのことを考えていた。
事件のあった日。
いつも通り麻雀しようとしていたら、トミさんがひーちゃんのパスケースを見つけた。
「俺が届けようか」
という言葉をトミさんは笑顔でパスして、
帰って行ったばかりの彼女を追いかけていったんだ。
いつもは「悪いね」って言って下っ端のハルに頼むくせに。
ひーちゃんは別なんだな。
彼女は俺達じじいのアイドルだ。
娘と歳の近い彼女は、俺のことを「ズミさん、ズミさん」と笑顔で呼んでくれる。
だから彼女を娘とダブってしまうときがあるんだ。
きっと子どものいないハルもそう。
1人でずっと暮らしてるケンさんも、トミさんもそう。
心の中で、ひーちゃんを「自分の子ども」として見ているんだ。