アタシとじいさん
「バカなこと言うな!」
そう叫んだのはケンさんだった。
これにはみんなビックリして、ケンさんを見上げた。
「生きてる意味ない奴なんかいない。
どんな極悪人だって、汚い奴だって…
意味ない奴なんかいないんだ…」
「ケンさん…」
ズミさんはポロポロ涙を落とし、アタシは彼の背中をさすった。
ケンさんは「やっちまった…」と顔をほんのり赤くしている。
アタシは言った。
「ズミさん、ケンさんの言う通りです。
ズミさんがいなかったら、アタシは麻雀のやり方なんて分からなかったし、
おいしいお酒の飲み方も知りませんでした。
それに、ズミさんが遊びにきてくれたからアタシは警備室行けたんですよ?
じゃなかったらこんな怖いおじいさんがいるところ、行けないです。
だからズミさん、そんな寂しいこと言わないで下さい。
アタシはズミさんがいなくなったら、本当に寂しいです」