刹那の色彩
「彼女は、私が連れてきたの。
稀にみる魂の美しさ。
悪人であるはずがないわ」


『しかし…』


「…鹿が……しゃ、しゃべった…
な、なんで…?」


フィリアと牡鹿は勢いよくリブルを振り返った。


「驚いた…
この子の声も聞こえるの?
すごい逸材ね。

私はフィリア。
この子はルシュよ」


「あ…私はリブルといいます」


サラッとルシュが喋った事実への質問を流された事にも気づかず、リブルは笑顔で自己紹介した。

そして、自分がどういった状況にいるのかを思い出すと、急いでフィリアを質問責めにした。


「あの、フィリアさん。
ここはどこでしょう?
私はどうしてここに?
あっ、私を運んでくれたのはフィリアさんですか?」


フィリアは少し驚いた様な顔をしたが、丁寧にリブルの質問に答えていった。


「まず、ここは緑の森の一番奥。
そして貴女は眠り草の花の香りを嗅いで、眠ってしまったの。
貴女をここまで運んだのは私とルシュよ」
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