∑[シグマ]
石榴の眼が煌めいた。その場の雰囲気が一気に真剣なものになる。

「それは、雲英(きら)からの情報?」

千影も、真剣モードにスイッチを切り替える。

「そう。でも、相変わらず目的が判らない。だから、行動が読めないー…。」

「…それに、僕らはもう1つ厄介なものを抱えてるしね。…あんな雑魚、石榴ならすぐ殺れるだろうに。」


明らかに態とらしくため息をつく千影。

「…出来る訳ない。あたし達はそういうことはしないって誓った。それに、言ったでしょ、彼らは何も知らなー「あれ。」」


急に聞こえてきた声に2人は振り向く。
そこには、パンと牛乳を持った、田儀皇がいた。彼の髪は、陽の光を浴びて一層輝くオレンジ色となっている。


((よりにもよって…!!))


一番来てほしくない奴がきた。

「千影に、篠宮さんじゃん。ここで飯、食ってんの?」


「う、うん。…田儀君も?」



皇の純真無垢な笑顔に、内心舌打ちをしながら石榴は皇に返す。


「ああ、なんかみんな部活で忙しいらしくていねーから、屋上に来てみたんだ。」


「そうなんだ…。」


チラッと千影を見ると親指を自身に向けて、

(僕に任せて。)
とジェスチャーをしたので、石榴は任せる事にした。


「田儀。もう僕達は食べ終わったから、ここを出るよ。じゃあ、」


「え…、ち、ちょっと待って!!」
そう言うと、千影は皇にひらひらと手を振りながら、石榴の手首を思い切り掴んで、屋上の出入り口へと進んでいった。

「おー、また教室でな〜。」

それに応えて皇もまた手をひらひらと振りながら見送る。







ガタンとドアが閉まる音がした後、ポツリと皇は呟いた。






「…アイツ等、付き合ってんのかな…?」
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