俺様何様王子様
どこに行こうか迷いつつ、中庭へ出る。
俺はまず、中庭でクリスティナが庭仕事をしていないか辺りを見回した。
……残念ながらいないようだった。
しかし中庭では、姫君たちが数人集まって何やら話していた。
なんというタイミング!
俺は、いそいそと彼女たちに近付いていく。
「ご機嫌いかがかな、城の薔薇君たち」
俺が声を掛けると、姫君たちが一斉に振り返る。
「まあ、王子」
「どうしてここに」
「ささ、こちらにお座りになって、一緒にお話致しましょう」
曲がりなりとも一国の王子。みんな優しく迎えてくれる。
「有難う。君たちに囲まれるなんて、俺は薔薇園の蝶よりも幸せものだ」
「まあ王子ったら…相変わらず口がお上手で」
「泣かされる女が後を絶ちませんことよ」
ほほほほと、姫君たちは扇子で口元を隠して朗らかに笑った。