楽園の姫君


『……はぁー』

口をついて出るのはため息ばかり。

きっと今日も、ラナシュに会えないまま1日が終わるのだろう。

……そう思っていたのだが。



バァン!!

大きな音をたてて扉が開き、次の瞬間、アナリアーナはひしと抱きしめられた。

『――ラナシュッ!?』

返事は無く、ひたすらに抱きしめられる。

でも、アナリアーナとて、一週間ぶりに会うことができた喜びは、隠しきれない。

いつのまにか頬は赤く歓喜に染まり、腕はラナシュの背中に回されていた。


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