楽園の姫君


「アナリ」

『なぁに?』

「ハネムーンに行こう」

『……』

驚きと喜びのあまり声もでない。
そんなアナリアーナを見て、ラナシュは何を勘違いしたのか
「嫌?」と聞いてきた。

『ううん………すごく、すごく、嬉しい!』

「それは良かった」


そこへやっと追い付いたロイドが口をはさむ。
(ラナシュは仕事が終わるなり駆け出していってしまっていた)


「でもあまり長いのは無理ですよ。遠い所も無理です。
国内で5日、ですかね」


「うるさい黙れ分かってる」


ロイドはいつものことなので軽く流したが、
アナリアーナは自分の知る余裕のあるラナシュとの差に呆然とする。


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