もう、いいの。

まあ、それなら許そうか。


「自分自身の中でも、

あやふやなんじゃない。

ならさ、いっそ一回きれいに女装して

デートしようよ?こ

れが最後、でいいからさ。」


「嫌なこと思いつくな。」


と、オーダーを取りにきた

お姉さんが割って入った。


「好き嫌い、ある?あと、

これ食べたいっての。」


「別に。」


時田はあたしににっこりすると、

適当にすらすらと注文した。

お姉さんが去り、メニューを戻すと、


「いいよ。」


何が?

と思って時田を見た。


「でも一回だけ。

その代わり、オレのこと、

バラさないでくれるなら。」

切実そうな、目。

ありゃ、

あたし、もしかして、

追い込んでる?


「そんなことしなくても

バラしたりしないよ。」


「本当?」


「信用ないなあ。」


「あるわけないだろ。

今日会ったばかりだし、

高校の頃だって、

全く接点なかったから、

全然知らない子じゃないか。」



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