もう、いいの。
だから、あたしたち、
同じ学校だったんだ。
あそこはブレザーだったから。」
「セーラーよりは、ましだった。
スカートはどうにもならなかったけど。」
「わかるなあ。
あたしは普通に女の子だったけど、
それでもスカート嫌いだったもん。
人生でスカートはいたのって、
制服だけだよ。」
あたしは、学と顔を見合せて笑った。
そして、今頃、
カウンター席の方が密着できるんだな。
って知った。
喋っているうちに、
学と、なんだか、
触れそうな距離感になっている。
「じゃさ、オレと人生最後の
スカート姿、やらない?」
頬づえをついて、
こちらを微妙に見上げる学。
端正な顔の学がやると、
猫科の猛獣のように、
気高くて、
攻撃的で、
一緒にいるあたしはまるで、
そういうイキモノを
飼いならしているような、
優越感を覚える。