もう、いいの。
どきどきしながら言うと、
覗き込んでいる学が、
コクンとうなづいた。
「実は、嘘、なんだ。」
ほっ、とした。
「ごめん。」
「やっぱりね。」
あたしは、目をそらせて、
お弁当をがっついた。
「そう言えば、考えてる間だけでも
オレのこと考えてくれるかなって思ったのに。」
隣のイスを引いて座わる。
「けど、全く脈なし、
だな。意識もされてない。
そんなに目の前でがっつかれてると
痛感させられる。」
ぴたと、あたしは箸を置いた。
「悪かったね。デリカシーなくて。
だから彼氏ができないんです。」
あたしは怒ってるのに、
学は静かな目でこっちを見ていた。
「欲しいとも、思ったことがないけれど。」
「なんで?」
「…高校の時、今思えば
すごい好きだったヒトがいて。
忘れられない。」
学が笑った。
「あ、ヒドい。
そこ、笑うとこじゃない。」
「ごめん。そうじゃなくて。
オレと同じだなって思って。オ
レもね、そう。
だから彼女もその子に似てるってだけで
好きな気がして、
付き合ってたんだけど。
違うんだって、彼女の方にバレた。」