もう、いいの。


「ここでみんな

お昼御飯を食べるんです。

営業所が新築された時には、

ここでお得意さんを招いて

ミニパーティーを開いたり

したみたいですよ。

…しってますよね。

本社にいても、こ

こに来ることも

あったでしょうから。」


言って振り返る。

と、時田の緊張した顔が

そこにあった。


「あんた、湯浅希美

(ユアサ キミ)だよな?」

あたしは迂闊にも

ドキッとした。

知っててくれたんだ。

感動のあまり言葉を失って、

あたしは、

先にキョーハクする

タイミングを、

完全に逃がしてしまった。



「オレのこと、知ってるよな?」



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