もう、いいの。

そして、時田は、

あたしにすーっっと近寄って、


「オレのこと、知ってるよな。」


今度は確定的に言った。

低いトーンの声が、

あたしの心臓を縮みあがらせた。

こわい。

もう、キョーハクなんかしません。

タスケテ。

と、

両手をつかまれた。

怖いって!!

何だか涙目になるあたしに、

時田は顔を寄せた。

もともとキレイに整っていたその顔は、

今でもやっぱりキレイで、

大人っぽくなった分、

魅力を増していた。


かっこいいな。

キョウフが、溶けた。

溶けすぎて、脳味噌もとろかした。



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