愛しいキミへ
「…やっぱり星斗が優しいのは奈々さんにだけですよ」
今更?ってちょっと思ったけど、隼人の顔が真剣だったら何も言わないでおいた。
「そうかなぁ…」
隼人が言うならそうなのかも知れないけど、あたしにはどうしても信じられなかった。
好きだって言う気持ちが冷静な判断を邪魔してるのかもだけど。
でも、あたしだって好きって言われたわけじゃない。
抱きしめられたけど、それだけだもん。
あたしだけ、って言うのはちょっと信じられない。
「ねぇ、知ってる?今年ね、何十年かに一度の流れ星が見れるんだって」
「へぇ、そうなんですか?奈々さんは誰かと行くんですか?」
そりゃ、気になるけどあたしは行かない事に決めてる。
だって見る時は星斗と見たいから。
あたしだけ見るわけには行かない。
…いつか、あたしの想い届くって信じてもいい?
どうして、あの時抱きしめてくれたか聞いてもいい?