蒼い月を見つけたら
ミアはきゅっと唇を結んだ。
「うん、わかった。でも・・・わたしにはまだ知らないことが多い。信じられないことも多い。分からないことだらけ。だって、ルイトが言うこともカイの言うことも本当だという保障はないから。」
「な、ミア、お前何言って」
「だってそうだよ?わたしにはわからないことだらけだよ?」
カイが驚いたような顔をしている。ルイトは少しだけ悲しそうに微笑んでいた。
「だから、考えさせて。落ち着くまで待って。こんなのすぐに答えを出すのは無理だよ・・・!」
「ミア。」
何か言おうとしたカイをルイトが止めた。
「わかったよ。君はまだ何も知らない。これから少しずつ考えていけばいい。でも、僕らは君の味方だよ。これだけは本当。だからさ、ここにとどまってくれると嬉しいな。」
「・・・。」
ルイトの言葉を否定も肯定もできなかった。
「さ、カイ、疲れてるだろう?何か飲み物でもいる?」
「あ、んじゃ、俺ココア。」
「この暑いのに?」
ルイトは苦笑する。
「じゃあアイスココア。」
「わかった、わかった。・・・ミアは?」
「わたしはいいよ。」
そう言った表情がぎこちなかったらしい。その様子を見てカイが思わず不機嫌な表情になる。
「おい、ミア。」
が、ミアはその続きを言わせなかった。
何かを振り切るように目を閉じると、がたん、と椅子から立ち上がった。
「ごめん、わたしちょっと休む。」
何か言いたげなカイを後に残し、ミアは寝室へと向かう。
「ルイト、部屋、借りるね。」
「うん。いいよ。」
振り向かずに答えるルイト。
その背にいったん視線を移してからミアは寝室へ入っていった。
一瞬カイのもの言いたげな顔が視界の隅に入ったが、それも見なかったことにした。