蒼い月を見つけたら

e - ELEVENTH

「おい、ルイト。」


 ココアを入れたグラスをもって机のほうに戻ってきたルイトに、カイの不機嫌な声がかかる。


「なあに?」

「お前はいいのかよ?ミアがあんな風でも。」

「・・・僕は、今の時点では君よりもミアのことわかってるつもりだよ?何も覚えていない子が、突然こんな事態に巻き込まれてどう思うか・・・。」


 ルイトはふっと悲しげな笑みを見せた。


「それにね。いいんだ、僕は。ミアが生きてさえいれば。」


 彼女がとても大切だから。

 これはきっと、恋愛感情とは違う。しいて言うなら、ミアの父親にでもなった気分だ。ミアが大切で、本当に大切で。
 決して失いたくない存在だから。


「ほんと、俺はお前が考えてることよくわかんねーよ。」

「うん、多分わからないだろうね。」


 君がミアに対して抱いている感情と、僕のそれは似ているけれど本質はまったく別のものだから。


「まったく・・・お前ってほんとムカつく。」

「どうもありがと♪」


 にこっと笑ったルイトを、摩訶不思議な表情でたっぷり一分間は見つめ、そのあとでようやくカイは嘆息した。


「よくわかんねぇ・・・」

「いいじゃん♪」

「ま、いーけどよ。」


 カイははぁ、とため息をつく。



「で。こっからはまじめな話な。」

 カイは表情を切り替えた。

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