蒼い月を見つけたら
「怖い?」
「そうだよ。」
ミアはいっぱいに涙をためたサファイアでカイを見上げた。
「『何もわからない』ことがこんなにも怖いとは思わなかった――」
何を言っているんだろう、わたしは。
信じるかどうか迷っていたはずの相手にこんなことを言ってしまうなんて・・・
その答えは分かっている。
わたしはとっくにルイトとカイを信じている。
魂が覚えている信頼。大切な仲間なのだと、心のどこかで何かが叫んでいる。
「・・・ミア。」
「何?」
零れ落ちる涙をふこうともせず。
まっすぐに見上げてきた紺碧のサファイア。
「悪かったよ・・・」
珍しく素直に謝れた。いつも自分はミア相手だとむきになって言い返すのに。
どれもこれも、ミアのせいだ。
いつもと違う、優しくて弱いミアのせい・・・
「だから、あんまり泣くな。」
『怖い』とという自分の気持ちを、はっきりと言葉にしたミア。その弱さの裏には、その恐怖を受け止められるだけの強さを秘めているはずだ。
ゆっくりとしゃがんで目線を合わせ、手を伸ばしてミアの頬に伝う涙をぬぐう。
驚いて目を見開いたミアのサファイアの瞳がまっすぐに自分をつらぬいたのがわかった。