蒼い月を見つけたら

「ほんとにわかってるのか?」


 ミアがいなくなった部屋で、カイは一人ポツリとつぶやく。

 灰色の――銀の瞳に悲しみの色を浮かべながら。



「お前は、自分で思うほど強くないんだぞ・・・?」


 ずっとミアの頬に当てていた手をぎゅっと握り締める。


「俺が守ってやるから。」


 俺はルイトとは違う。

 ミアが大切で仕方ないところは同じだけれど。



「ずっと傍にいてやるから・・・だから・・・お願いだ・・・」




 泣かないでくれ――









「あ、ミア♪元気になった?」


 ルイトが今朝と同じように声をかけてくれる。


「うん。ごめんね、ルイト。」

「ぜーんぜん。僕は気にしないから♪」


 最初に会ったときから変わらない、見ていると安心できるような笑顔を見て、思わずミアも笑顔を見せた。


「とりあえず、もう一回顔洗ってくるよ。」

「はーい♪たぶんそろそろユリアもくると思うんだ。」

「うん。わかった。」


 少しだけ進歩できた。それだけでミアには大きな自信になった。


 そう、あせらなくてもいい。何もかも、少しずつわかっていけばいいのだ。



< 34 / 62 >

この作品をシェア

pagetop