蒼い月を見つけたら
「なに・・・?あなた、何者?」

 かろうじてかすれたような声を出す。

「僕?」

 青年は一瞬きょとん、としたがすぐに答えた。

「僕はねえ・・・君の味方だよっ。名前はさっき君が言ったよね?」

「・・・ルイト。」

「そっ。」


 青年は思わずひきつけられるような魅力的な笑顔を見せた。
 その顔に一瞬見とれてから、ゆっくりと口を開く。


「あなたはわたしの味方といったよね?なら、ひとつ教えて。」

「答えられる範囲でなら何でもどうぞ。」

「わたしは、誰・・・?」


 その問いに、青年はまたにこりと笑った。

「いい質問だねぇ。さすがっ。」


 そして、腕を組むと少し考えるふりをした。

「うーん。説明すると長くなっちゃうんだけど。」

「いい。全部聞きたい。わたし、何もわからないんだから。」


 まっすぐに見つめ返すと、ルイトは再び笑う。


「じゃ、そのためには場所を変えなくちゃね♪こんなところで長話するのもなんだし。」

「どうやって?」


 聞き返すとルイトは、あ、そうかという顔をした。


「何も覚えてないんだったね。・・・僕はどうやってここにきたと思う?」

「あ・・・。」


 そういえばそうだ。

 ルイトはいつの間にか背後に立っていたのだ。


「どうするの?」

 瞬間、ふいに体が軽くなる感覚があった。ルイトに抱き上げられたせいだ。

「この屋上という監獄から君を連れ出してあげるよ!」

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