蒼い月を見つけたら
 もう一度ミアが笑ったところで突然緊迫した空気が張り詰めた。

 ルイトの小さなため息が聞こえた。



「ごめん、ミア。ちょっと・・・人の少ないところまで行こうか。」

「えー?見つかっちゃったのー?」


 ユリアが心底いやそうな声を上げる。

「ごめん。本当に、油断大敵だよね。こんなところまで手が回ってるとは思ってなかったんだ。」


 ルイトはミアの手を何の躊躇もなくつかんで強く引いた。不思議と痛くはないが、思わずミアはそれにあわせて足を前に動かした。


「ユリア、走れる?」

「もちろんよ。それ、誰に向かって言ってるのかしら?」


 ユリアはパチッとウィンクした。


「ほんとにごめんねー。全部カイのせいにしていいからね♪」


 にっこり。


「もちろんよ!あのおばかさんはこんな大変なときに本当にいったいどこに行っちゃったのかしらねっ。」

「・・・」



 怖い。この二人――ミアは直感した。いとこだけあってさすがに似ている。この、笑顔が怖い。


 微妙な表情を浮かべたミアに、ルイトが声をかける。


「大丈夫だよ、ミア。心配しなくても僕、強いんだから♪カイほどじゃないけど。」

「・・・」


 ミアはその言葉に曖昧に頷いた。

 ちょっと違うんだけどね・・・と思わず苦笑しながら。

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