蒼い月を見つけたら
「クロウさん、率直にお尋ねしますけど、貴方は『セドナ』ですか?」

「うーん、そうだな。キミたちにはそう呼ばれるかもしれないな。」

「そうですか。」



 ルイトはにこりと微笑んだ。



「では、攻撃する前に最後ひとつだけ聞きます。」

「何かな?清神累斗くん?」

「なぜ、カイを攻撃したのですか?」

「おや、心外だな。おれはアポロを攻撃などしていないよ?攻撃したのは・・・」



 クロウはすっとミアを指差した。


「彼女だろう?」


 その瞬間、場の空気が凍りついた。




「・・・え?」




 呆けたように自分に向けられた指先を見つめるミア。



「いくらおれが『セドナ』と呼ばれるものでもアポロにあれだけの傷を負わせることは不可能だ。あんなことができるのは、現在のルナくらいのものだよ?」


 にこり、とクロウは微笑う。


「ねえ、ミアちゃん?」


 漆黒の瞳をユリアに半ば抱えられたようにして立つミアに向ける。



――ズキン



 頭の芯が痛む。


「キミがアポロを攻撃したんだ。」


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