蒼い月を見つけたら
 すぅ、と息を吐く。呼吸を整えて相手を見据える。『力』をこめた右手を拳の形にぐっと握り締める。


「じゃ、いくよ?」


 その瞬間にルイトの感覚から相手以外の情報は消えうせる。

 突出した集中力。

 それはルイトが『メルド』たる証。


「しかたないな。じゃあ・・・」


 クロウも左手に薄く光をまとって構えた。


「すこしだけ、お相手しよう。・・・彼女が、目を覚ますまで。」


 クロウの言葉にぴくりと片眉を上げるルイト。



「本当に僕は君が好きになれそうもないな、クロウさん。・・・ミアにかまわないでくれる?今、大変なんだよ。」

「分かっている。」

「あ、わかっててやってたんだ♪じゃ、もうだめだ。」



 にっこり。

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