蒼い月を見つけたら
――ピリリ
街の中を歩いていると、肌が一瞬焦がされるような感覚が襲った。
カイははっとして思わず空を見上げた。
青い空。雲ひとつない夏の空が灰色の瞳に光をもたらす。金に輝く太陽が灰色を銀に変える。
人々が行きかう雑踏の中、そんな風に立ち止まる青年の姿を気にとめる者は皆無。
「ルイト・・・?」
目を細めて青い空に親友の姿を思い描いてみる。
憎らしいほどに整った顔立ちと人に警戒心を与えない笑顔。光をすべて吸い込んでしまうような漆黒の髪。黒猫を思わせる金の瞳。
「・・・ったく、しょーがねーなあ。」
ルイトが聞いたら『その台詞、そっくり君にお返しするよ♪』と恐ろしい笑顔で返されそうな言葉を堂々と吐くと、カイは目指す方向を定めた。