蒼い月を見つけたら
c - FIGHT
「ルイト!!」
そこに投げつけられた、声。
息を切らせ、暑さによって額に浮かんだ汗をぬぐいながら、濃い紅の髪を持つ青年がその場に駆けてきた。
「やめろ!ルイト!」
「なんだ、カイ。今頃来たわけ?」
いったん距離をとり、にこりと微笑んだルイトがカイのほうに瞳を向ける。
――ゾクリ
カイの背筋に戦慄が走る。
この状態のルイトはやばい。ごくリ、とつばを飲み込んだ。
「遅いよ?いったいどこに行ってたのかな?」
「・・・すまねえ。」
今の状態のルイトを敵に回すのは危険すぎる。
カイはそれを十分承知していた。
「・・・冷静になれ、ルイト。そいつに、『セドナ』に遊ばれすぎだ。」
「どこがおかしいっていうのかな?僕は冷静だよ?」
背筋を汗が伝っていく感覚がある。
カイは細く長く息を吐いて呼吸を整えた。
「お前、精神操作かけられてるぞ?」
「・・・え?」
一瞬、ルイトの物騒な気配が揺らいだ。
ここぞとばかりにカイは一気に畳み掛ける。
「お前の攻撃があたらねえわけないだろ!俺やミアを相手にしてるんならともかく!お前が攻撃を当てる瞬間だけ精神操作されて攻撃をゆっくりにしてるんだよ!」
そしてぎりっとクロウのほうを睨みつけた。
「そうだな?『セドナ』。」