蒼い月を見つけたら
 クロウは一瞬呆けたものの、すぐに唇の端で微笑った。


「さすがだな、アポロ。伊達に十星の長は名乗っていないか。」

「そういうこった。・・・おい、わかったか、ルイト!むざむざ攻撃すんじゃねえ!」

「・・・」



 ルイトは、構えを解いた。



「まったく、君にアドバイスされるなんて僕もずいぶん落ちたもんだなあ・・・。」

「うるせえっ!」


 がーっとルイトに怒鳴っておいて、もう一度『セドナ』と対峙する。


「この間みたいにはいかないぜ?『セドナ』さんよ。」

 にやっと不敵に笑う――カイには、この表情が似合う。

 ルイトはくすりと笑った。



「なんだよ?」

「なんでもないって♪」



 自分がそう言うのを聞いて、いつもの調子に戻ったことを確認する。

 惑星の暴走を止められるのは太陽のみ。そんなことカイが気にしているわけもないが。








「待てよ。」






 その時、後ろから聞こえた第4の声。

 カイでも、ルイトでも、無論クロウでもない。ユリアでもない。



「もちろんその戦い・・・わたしも混ぜてくれるんだろうね?」

「ミアちゃん?」



 驚いて振り返ったカイとルイトの眼に映ったのは、さっきとは打って変わって青白い炎のような光をまとったミアの姿だった。
< 59 / 62 >

この作品をシェア

pagetop