蒼い月を見つけたら
「んじゃ、今度は本当の話ね。」

「うん。」


 きれいに整ったルイトの横顔を見ながら、真摯に頷いた。


「君は高校生だよ。普通とはいえないけど。なんでかっていうと・・・さっき見たよね、僕が飛んだの。」

 思い出したくない現実を突き出されて、ぎこちなく頷く。

「君にもあんなことができるんだよ。君も僕も、そんな力を持っているんだ――これは普通の人が持たない能力だよ。」

「わたしが?」

「そう。ほら、よくある『超能力』とか『魔法』とか。そんな感じ。その力は自分で生み出すわけじゃなくて分けてもらうんだけどね。」

「分けてもらう?誰から?」


 思わず問い返すとルイトはにこっと笑って天をさした。

 その先にあるのは、もうかなり西に傾いた細い月。



「月?」



「そう。君の場合はね。他にも火星の人や金星、太陽の人だっている。僕らは星の力を借りて魔法を使えるのさ。」

「・・・。」


 どう反応していいかわからない。さっきのお姫様より少しはマシになったが、まだまだ現実離れした話だ。

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