蒼い月を見つけたら
「論より証拠。やってみなよ!きっとお月様は君に力を貸してくれる。」
「どうやって・・・?」
「んー。そしたら初級の言霊で。覚えてないよね。僕が言うから続けて。」
考える間もなくルイトは言葉を綴る。
「蒼天に座す若月」
「蒼天に座す若月」
「盟約により地・・・」
「盟約により 地上の月が命ず ここに光 指し示せ」
ルイトが言う前に口をついてその台詞が出てきた。
何かに導かれるように右手を前に出すと、その手が薄く光を放った。
「なんだ、覚えてるじゃない♪」
「あ、わ、わたし・・・」
「よかった、力は使えそうだね。」
ルイトがにっこりと笑った。
「んじゃあ、力のことはいいかな?信じてもらえる?」
「ん、一応・・・」
信じる、信じないという問題以前に忘れ去ったはずの記憶が叫んでいる。この力に反応している。
「よーし、じゃあここからが重要な話!」
ルイトはぴっと人差し指を鼻先に突きつけてきた。
「君はね、その力がすっごく強いんだ!どのくらいかって言うと、月で君にかなう人がいないくらい・・・まあ、つまりは君が月では最強ってことになるね。勝てるのなんて太陽で一番強いやつくらいだよ。僕だって瞬殺されるよ。」
これは本当の話?それともまだからかわれている?
自分の中で答えは出ない。今はとりあえず話を聞くしかない。
「それがさあ、あるとき反乱が起こったんだ。月で二番目に強い人が他の星と共謀して君の命を狙ったんだ・・・君は、太陽で一番強い人と一緒に逃げた。そのままどこに行ったのかわからなくて探してたら君を屋上で発見した。」
ルイトはそこまで話すと、いったん息をついた。
「本当によかったよ、見つけられて。」
本当に安心したような表情。心からの笑顔。
思わず心拍数が上がる。
この笑顔は、反則だ。