星色模様〜幼なじみの君と〜
う、嘘でしょう…

変わり果てたお弁当に声が出ない


「…もしかしてアレ、君の?」

「…」


私はコクンと頷くだけ


久しぶりに作った颯にぃへのお弁当が無惨な物になってしまい、あげる事ができないと落胆した



「…俺のせいだな、悪い」

「…!?いえっ、えっと、大丈夫なので…気にしないで下さい」



もう、仕方ない



すると、その先輩は階段を降りて、お弁当の所まで行って


「あー…もったいねーな」


こぼれる中身を拾ってくれて、床もティッシュで拭いてくれた

無事な中身もぐちゃぐちゃだが、


「うまそ」


と言い、フタをして、私の所まで戻ってきた


「これ」

「…?」


私に差し出したのは、お弁当じゃなく、先輩が持っていた袋


「俺の、購買で買ったやつ、代わりにやるよ、だからこっちの弁当くれない?」

「…へ?…えと、そんなぐちゃぐちゃだし、少なくなったし…だから気遣ってくれなくてもいいですよ?」

「いいよ俺のせいだし、弁当箱も洗う、はい、貰って」


強引に袋を渡されてしまった


「あの!」

「それじゃ、またな」


私の呼びかける声も虚しくその先輩は去って行った

…お弁当を持って


.
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