終わりから始まる恋
霊感少年
突然ですが、たったいま私は死んじゃいました。
死因は焼死。
お父さんのタバコの吸い殻に残っていた火が原因で我が家は燃え、布団の中ですやすや眠っていた私はそのまま死亡。
目が覚めたときはもうすでに辺りは炎に包まれており、私は幽体になっていた。
長いようでとても短い私の16年間は、タバコの吸い殻によって幕を閉ざされることになる。
いまはもうすでに炎は消防車から取り出されたホースによって消され、現場には一件落着のような空気が漂っていた。
が、家があった場所をぼんやり眺めていた二人の年増の男女はみるみるうちに顔を青ざめさせる。
「あ、あ、あ…あなた…え、えりなは?えりながいませんよ!」
「えりな?えりなはお前が起こすって言ってたじゃないか、なあ!おい!えりなはどこだ!おい!」
いまにも泣きそうな顔をして薄い唇をぶるぶる震わせるのは私のお母さん。
お母さんの言葉を聞いた瞬間、横で顔をくしゃくしゃにさせ怒鳴るのは私のお父さん。
どうやらようやく私がいないことに気がついたようだ。
お父さん。お母さん。
私はここにいるよ。
空から降り、私は二人に近寄った。