セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
「これ、よかったら」


ぐい、と
差し出された鉢



それは…


「オニオンスープ
ライス入り

私、オニオンスープにご飯少し入れて食べるのが好きなんです」




はにかむ顔が
眩しくて


毎日
窓から見ていたのが
バレていたのに
気付いて



俺は



鉢を無愛想に
ひっつかんで



自分の部屋に



逃げるように
入った



「あっ、鉢は外に出しておいてくださいね!」



ドアを閉める隙間から
彼女の声が


小さく聞こえた


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