セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
タカヤマさんは


一瞬ひるんだが
彼もまた
何事もなかったかのように
例の王者スマイル


「…おはよう。
今日も頑張ろう」


と言って
振り返らずに
手を軽く振った



なかなかやるじゃない
…あいつ



そうしてまた


私も
タカヤマさんのオーデコロンの香りを
振り切るように



次の階段を
登っていくのだった







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