セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
放課後
日直の仕事を終わらせると


意味ありげな瞳をしたチホが

教室で待っていた


「帰ろ!」


「…うん」


私達は肩を並べて教室を出た


夏の終わりの夕方


まだ暑さが
残った

気怠い夕方


夕日に照らされたオレンジ色のグラウンドに出ると

サッカー部がランニングしている



その中の
ひとりがひょこっと
向きをかえて

こっちに走ってきた


…ハルだ

「あれ、もう帰っちゃうの?」


汗がハルのブラウンの柔らかそうな髪を濡らしている
…ちょっとすねた顔


「ごめん、今日はチホと約束したから」


私が言うと
ハルは
すぐに笑顔になる

「そっか」

この笑顔に
私はすごく

…弱い


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