嘘吐き
翌日、学校に行くと、私の席にクラスメイトの広明が座っていた。
成績優秀、いいところのおぼっちゃんで人当たりもいい優等生。
ただ…本当のところは私に負けないくらい性格は悪い。
自分が一番。エリートで育って来た故の性格なのかもだけど。
だからこの人といるときは、最低な性格の素の自分でいられるから楽なんだ。
「どいてくんない?」
少しきつく言ったのに響く気配はない。
「おはよ。
里奈ちゃん、顔が怖いけど何かあったの?」
テンションの低い私とは対照的で、彼は機嫌がいいようだ。
にやにやしながらそう聞いてくる。
「うん、まあね。テンションが低いのはあなたがそこにいるからだけど」
「ごめんごめん。後でまた話聞かせて」
そう言うと彼は立ち上がり、すれ違いざまにこっそり帰りにうちに来ることを伝えて自分の席に着いた。
良いタイミングでチャイムが鳴る。