嘘吐き
「俺…里奈がいたからここまで頑張れた。
里奈に会わなかったらきっと、もっと適当に生活して駄目な奴になってたと思うよ。
だから里奈にはほんとに感謝してる。
今度は俺が里奈のこと守りたいって思ってるから…
里奈は俺のこと頼れる男だって認めてくれたか聞きたいな」
涼のことば一つ一つが嬉しくて…
つい顔がにやけてしまう。
「認めるに決まってるし」
彼の表情も次第に明るくなった。
「よかった」
そう言うと強い力で抱き締められた。
「涼、大好き。
私も涼がいたから、嘘吐きじゃなくなったし、人を信じることも出来るようになったんだよ?
こんなに涼のこと好きって思えるのが、嬉しくてしょうがないの」
今まで言いたくて堪らなかったことばを、やっと言うことができた。
涼がくすっと笑い、私の耳にキスをする。
そして耳元でこう囁いてきた。
「これから二人の思い出をもっといっぱい作って、
お互いの嫌なとこも好きって言えるくらいになったら、俺と結婚してほしい」
「…はい」
自然と涙がこぼれた。
一番最後に人前で泣いたのも、たしか涼と一緒にいた時だったと思い出す。
あたしは彼の前じゃなきゃ泣けないらしい。